わたくし

大学生一年目の前期で、わたくしはさまざまなグループのコンサートに出向いた。なぜか、付添人として誘われることが多かった。


そんな中でいつも心に浮かぶのが、

「いいなあ、こんなおっきなステージで歌えるの、気持ちいいだろうなあ幸せだろうなあ」

アーティストを羨む。


では自分がだいすきなアーティストの場合はどうか、

「もっと見たいこっちにおいで。ますだくんできる子だね、早くこっちに走っておいで。かわいいね、かわいいね、私を見て、私に笑顔を見せてごらんはあかわいいね。」

よくわからない。


自分でもよくわからない。

というか、記憶がない。

ペンライトの持ち方もおかしかったと思い出した。光ってる方を握りしめてた気がする。


にっこにこで、たのしそうで、しあわせそうに歌って踊る増田くんを見たときに

わたくしの全細胞がハートになった。♡


二回も近くで止まって歌ってくれた。

なんの曲かは覚えてない。

「君のいない世界は無声映画みたいだ」

という歌詞があるが、

わたくしの場合、ますだくんが目の前にいるときに無声映画のような世界になってしまうと気づくことができた。


見たい見たいと思うほど、涙が溜まっていってぼやけてしまう。悔しかった。話。